青春ホラー映画「サマー・オブ・84」のあらすじや感想は?衝撃のラスト10分間!

1980年代を舞台に、隣人の正体を暴こうと奮闘するミドルティーンの少年たちの冒険を描いた「サマー・オブ・84」。

「ストレンジャーシングス」「IT」などと並ぶ、古き良きノスタルジックな趣のジュブナイルとして人気を博す一方、トラウマ不可避のショッキングな結末が強烈な印象を残す本作。

一体どんな映画なんでしょうか?あらすじと魅力を調査します。

 

「サマー・オブ・84」のあらすじ


舞台は1984年アメリカ、オレゴン州郊外の平和な住宅街。主人公は15歳の少年デイビーです。

デイビーはオカルトが大好きで空想癖のある少年。

夏休み中は自転車を漕ぎ、新聞配達のバイトに精を出していました。

 

彼には仲良しの友達が3人います。

母子家庭の肥満児ウッディ、不良の問題児イーツ、化学に強い秀才のファラディです。デイビーを含めた四人組は近所の子供たちを誘い、夜の隠れんぼに熱中していました。

 

デイビーの近所には警察官のマッキーが住んでいます。

人当たりよく周囲の信頼厚いマッキーですが、ある夜隠れんぼの最中のデイビーは、偶然彼の家の窓から中を覗いてしまいます。

そこには自分と同年代の見知らぬ少年がいました。

 

後日デイビーは牛乳パックの裏に刷られた失踪人の広告を見、マッキーと一緒にいた少年が行方不明の児童と知ります。

時同じくして、子供を誘拐して殺すケープメイの殺人鬼の活動が報道されました。

デイビーはマッキーこそがケープメイの殺人鬼ではないかと疑い、仲間たちとマッキ―の身辺を調べ始めます。

 

アライグマのしわざに見せかけてゴミを漁る、ウッディの母親の車を借りて尾行したりと、マッキーを徹底的に調査するものの一向にボロを出しません。

イーツの家の敷地内にあるツリーハウスで作戦会議を重ね、トランシーバーで連絡を取り合い、4人はさらに警戒を強めていきます。

 

一方デイビーは隣の家の美少女、ニッキーに淡い恋心を抱いていました。

ですが彼女は両親の離婚による引っ越しが決定しており、デイビーの恋が実る確率は低いです。

しかも友達を部屋に呼んだ晩、双眼鏡でニッキーの着替えを覗いている事がバレてしまいます。

もうおしまいだと悲観するデイビー。

ところがこのハプニングがきっかけでニッキーはデイビーに接近し、親の不仲を相談します。

思春期の不安と孤独を分かち合い、急速に距離を縮めていく二人。

 

マッキーの調査は成果が得られず行き詰まっていました。他の仲間たちはマッキーがケープメイの殺人鬼というデイビーの推理を疑い始めています。

頑として持論を譲らないデイビーは、マッキーの留守中に死体が埋まっているかもしれない彼の庭を掘り返そうと主張しました。

 

四人組は二手に分かれ、デイビーとイーツが庭を掘り返し、ウッディとファラディがマッキーを見張ります。

ウッディとファラディはマッキーが倉庫にパトカーを入れ、自家用車に乗り換える現場を目撃。

その倉庫には怪しいラベルを貼られた化学薬品がたくさん保管されていました。

庭の掘り返しに一息入れたデイビーとイーツは、物置で血痕が付いた失踪者のシャツを発見します。

加えてファラディたちが倉庫で見たのが、動物の死骸を溶かす水酸化ナトリウムの瓶と判明し、四人はデイビーの両親にマッキー犯人説を伝えます。

 

ところがデイビーの両親は子供たちを叱責、マッキーの家に非礼を詫びに行かせます。

マッキーは四人を笑って許し、デイビーが見た少年は遠くに住む甥で、大工仕事を手伝いに来てくれたのだと説明しました。

マッキーに迷惑をかけたデイビーは両親に自宅謹慎を命じられます。

 

後日、マッキーがケープメイの殺人鬼を逮捕したと報じられます。デイビーはマッキーが他人に罪を着せたと直感、渋る仲間を説得し、最後の捜査に踏み切りました。

決行はフェスティバルの日です。

ファラディとイーツがフェスティバルに参加中のマッキーを監視している間、デイビー・ウッディ・ニッキーはビデオカメラを持って彼の家に侵入。

地下室へ降りた3人は秘密の扉の奥へ踏み入り、バスタブに浸かった腐乱死体と、監禁されている少年を発見します。マッキーは本当にケープメイの殺人鬼だったのです!

 

ビデオカメラで証拠を撮影し、瀕死の少年を救助した3人は、一躍町の英雄に祭り上げられました。

その晩、デイビーと彼の部屋に泊まったウッディが誘拐されます。犯人はマッキーでした。

彼はパトカーで二人を連れ去り、真っ暗な森の奥で解き放ちました。

 

そこはマッキーが捨てた犠牲者の死体がゴロゴロしており、二人は必死に逃げたものの、ウッディが途中で捕まって豚を屠るように喉を裂かれます。

変わり果てた親友の姿に絶叫するデイビー。

マッキーは恐れ戦くデイビーの耳元で「お前が大人になったら必ず殺しにいく」と脅し、忽然と行方を晦ましました。

 

その後到着した警察に保護されたデイビー。

しかしウッディは生き返らず、初恋のニッキーは結局町を去り、無邪気でいられたデイビーの少年時代は永遠に終わってしまったのでした。「隣人の本性はわからない」、重すぎる教訓を胸に刻んで。

 

「サマー・オブ・84」の見所


「サマー・オブ・84」の最大の見所は1980年代を忠実に再現したノスタルジックな雰囲気です。

郊外の住宅街を自転車で颯爽と駆け抜けるミドルティーンの少年たち。

ボーリング場で遊んだり図書館で悪ふざけをする様子が生き生きと描かれて、ひと夏の冒険といった印象を強めていました。

 

消灯時間が過ぎてからこっそりトランシーバーで連絡をとりあったり、子供の視点で感じるスリルや興奮が詰めこまれています。四人が秘密基地にしているツリーハウスの内観もわくわくしますね。「ストレンジャーシングス」や「IT」が好きならハマるのではないでしょうか。

 

また、メインとなる四人の少年たちもそれぞれ個性的。癖のある役柄を好演しています。

特にイーツ役のジュダ・ルイスは、若き日のリバー・フェニックスを思わせる、スレた演技が印象的でした。ナイフのように尖った粗暴さと、裏に秘めた繊細さのバランスが絶妙です。

 

ケープメイの殺人鬼役=マッキー役のリッチ・ソマーの不気味な存在感も後を引きました。

衝撃のラスト、胸糞悪い結末と評されていますが、鬱展開に耐性のある方にはおすすめしたいです。

 

途中デイビーの両親の不在がやたらと強調されるので、彼らこそ犯人ではと疑いたくなりますが、これはミスリード。

犯人と思わせて実は良い人、というお約束のさらに裏をかき、最初から犯人と目されていた人間がサイコパスな殺人鬼として暴走するので、定石崩しの意外性がありました。

 

「サマー・オブ・84」の評価・感想


Filmarksでの評価は3.6です。ラストが胸糞悪い、トラウマ級という意見が目立ちました。二転三転のどんでん返しを評価する声や、恋あり友情ありの少年たちの冒険ものとして押す声も大きいですね。

隣人が隠した死体をさがす裏テーマに、往年の名作「スタンド・バイ・ミー」を思い出した人も多かったようです。

お世辞にも後味がいいとは言えませんが、だからこそ失われゆく少年時代の切なさや感傷が引き立ち、なんともいえないビターな余韻を残しました。

ホラー

Posted by TAG96