学園ホラーなのにコメディ要素も?映画「スローターハウス・ルールズ」の見所やあらすじ紹介!
「スローターハウス・ルールズ」はクリスピアン・ミルズ監督によるイギリスのモンスターパニックムービー。
英国の田舎にある全寮制学校を舞台に、長期休み中に取り残された学生たちが、謎のモンスターと戦いを繰り広げる本作は、邪悪なハリポタともいえるB級全開の悪ノリてんこ盛りの痛快な作品となっています。
恋あり友情あり笑いあり、ブラックユーモア満載のお下劣ギャグあり。
なんでもありの自由さが生み出す、ジェットコースターのような展開の起伏に身を委ねるのが快感な本作の魅力をご紹介します。
「スローターハウス・ルールズ」のあらすじ
主人公は高校生のドン・ウォレス。
彼はエリート志向の母親のたっての勧めで、英国の片田舎にある名門校、スローターハウスに編入することになります。
そこは厳格な規律と上下関係が支配する、全寮制の学園でした。
ドンのルームメイトになったのはウィロビー・ブレイクことウィルと名乗る少年です。
ドンの前にいた寮生はシーモアというそうですが、何故か誰も彼のことを語りたがりません。
始業式が行われる講堂にて、ドンは一人の美少女に一目惚れします。思わず話しかけるものの、「ここは女子寮のアンドロメダよ」とそっけない回答であしらわれてしまいました。
なんでもスローターハウスには4つの寮が存在し、ゼネフォンは秀才の集まり、オリンポスはスポーツ万能、スパルタは落第生の吹き溜まりなのだそうです。ドンが配属されたのはまさにそのスパルタ寮でした。
そこへマシューという最上級生がやってきて、「彼女に話しかけるな」とドンを牽制します。続いてコウモリさながら黒いマントを羽織った学園長が愛犬とともに登壇。
始業式の最中、学園とは無関係な団体が乱入して学園長を批判しました。
その団体曰く、学園長者はある開発業者と癒着し、地下のシェールガスを採掘して周囲の環境を破壊しているらしいです。
後日、スローターハウスの教師であるハウスマンは、学園の敷地の森をランニング中に異変に遭遇します。
森の真ん中にはシェールガスを採掘するためのタワーが存在するのですが、その周囲に群れた作業員が、「地下で何かが蠢いている」と噂していたのでした。
ドンは始業式で一目惚れした女生徒、クレムジー・ローレンスへの想いを募らせますが、彼女にはスマジャーという恋人がいるらしいと知って落ち込みます。
ある日、校則違反の罰則として森を走らされていたドンとウィルは森で野営している集団と出くわしました。ボスはウディ・チャップマンといい、なんとスローターハウスの出身者で学園長の元同級生らしいです。
スローターハウスのエリート主義が肌に合わず憂鬱になる一方のドンですが、サボっている所にクレムジーと友人がやってきて、思いがけぬ接点ができた事で気持ちが浮上しました。
一方、ウィルの元ルームメイトのシーモアがマシューたちに陰湿ないじめを受け、自殺に追い込まれた真相が明らかになります。
ウィルはスパルタ寮の至る所に首吊り縄を仕掛けるなどし、いじめの主犯のマシューにプレッシャーをかけていました。
学園が長期休みに入り、殆どの生徒がいなくなりますが、落ちこぼれのドンとウィル他数名は帰省の許可がおりず寮に取り残されました。
がっかりするドンですが、片想い中のクレムジーも帰省しないと知ってテンションを上げます。
そんな中、シェールガスの採掘が祟って遂に地下の怪物が目覚めました。
怪物は森の野営地を襲って抗議団体を食らい尽くした後にスローターハウスを襲撃、学園長を血祭りに上げます。
学園長の車に乗り込んだクレムジーが一体を轢き殺しましたが、生き残りはまだ他にもおり、学園内に残された生徒や職員が次々と襲われました。
ドンとウィル、ならびに彼らに賛同した寮生は学園内に持ち込まれたものの、没収された重火器類で武装し怪物に応戦します。
クレムジーは兄のスマジャーを見捨てて行けないと主張、彼女がフリーだと判明したドンは一気に力を得ました。
スマジャーを回収後、ハウスマンと合流したウィルたちはボート小屋に避難しますが、そこへマシューが殴りこんできて、シーモアへの仕打ちを糾弾するウィルと口論になり激昂。他の者を犠牲にして自分だけ助かろうと生き残ろうと暴走した挙句、怪物に食い殺される羽目になりました。
その後ハウスマンが身を挺し囮になり、ドンたちを逃がします。
怪物から逃げて学園に迷い込んだウディと合流したドンたちは、校舎の地下に秘密の抜け道があると知らされました。
ウディと弟は在学中この通路から脱走を企てたものの、弟が例の怪物に襲われ、消息を絶った過去がありました。
生き残った生徒たちは通路から地上をめざしますが、途中で怪物と邂逅し、亡き弟の幻覚をだぶらせたウディが命を落とします。
他のメンバーが怪物に追われる中、ドンはピンチに陥ったウィルを助けに戻り、彼と共に紙一重の脱出に成功。
最後は可燃性のガスが充満した地下通路の穴に、ウィルがシーモアの形見のライターを投げ込んで、怪物ごと爆発炎上させました。
跡形もなく消滅したスローターハウスを背に、意気揚々と歩いていくウィルたち。怪物の犠牲になったと思われたハウスマンと学園長の愛犬も一命をとりとめ、エンドロールが流れます。
「スローターハウス・ルールズ」の見所
「スローターハウス」(屠殺場)という題名からエグいスプラッタムービーを想像しがちですが、案外爽やかな青春ものでした。
コメディ要素もたっぷりあり、「トレーマーズ」のおバカなノリに近いです。
怪物が登場するのは中盤以降で、前半はほぼスローターハウスの学園生活の描写に費やされます。
ハリポタのR15版ともいえる、絶対的な上下関係を敷く寄宿学校の日常や風俗はその手の作品が好きならたまりません。
ウィル役のエイサ・バターフィールドの少し影のある、ひねくれた美少年ぶりにも注目。
元ルームメイトの自殺のトラウマをひきずりながら、ドンと友情を深めていくエピソードの積み重ねにキュンとします。
ダメ教師ハウスマンを演じたサイモン・ペッグの、トホホで憎めないキャラクターも好感触でした。
反抗心旺盛な問題児たちが学園の体制や謎の怪物に立ち向かい痛快無比な逆転劇を演じる、そんな話が好きならおすすめしたいです。
「スローターハウス・ルールズ」の評価・感想
やはりというべきか、「セックス・エデュケーション」などで人気と知名度がうなぎのぼりのエイサ・バターフィールドの好演を評価する声が目立ちました。本作では前髪をおろし、儚げな魅力を醸し出していますね。
怪物の始動が中盤以降ということもあり、前半がやや冗長で退屈なのが減点要素でした。
キャラクターの人間関係や性格、ならびに学園の内情を掘り下げるなら必要なパートですが、スプラッタに振り切れたモンスターパニックムービーを期待して観ると肩透かしかもしれません。
ティーンエイジャーの青春と友情にモンスターをプラスした、全編通してコミカルなタッチの娯楽作品に仕上がっています。