細田守監督の出世作となったデジモンアドベンチャー「ぼくらのウォーゲーム」のあらすじ・見所

本日ご紹介するのは細田守監督の出世作となった「ぼくらのウォーゲーム」です。

今では日本を代表するアニメーション監督の一人となった細田守が初期に手がけた傑作であり、一躍彼の名前を知らしめることになりました。

現在も根強いファンが多い、本作の魅力をご紹介します。

 

「ぼくらのウォーゲーム」のあらすじ

物語は太一ら「選ばれし子供たち」が、デジモンワールドから帰還した半年後に幕を開けます。

夏休みに突入し、自宅マンションで暇を持て余す太一。ヒカリは友達のお誕生会にでかけていません。

 

太一は喧嘩中の空に謝罪メールを送ろうとして、パソコン内に不審な卵を発見します。

機械に詳しい光子郎に相談したところ、それはデジモンの卵と判明。

光子郎が太一の部屋に到着し、二人して見守る中、卵が孵化してクラゲに似たデジモン通称クラモンが誕生します。

 

クラモンはネット上のデータを凄まじい勢いで食い荒らし、幼年期のツメモン、さらに成長期のケラモンへと進化します。

ケラモンを放置しておけばネット上の全てのデータが食い荒らされてしまうと危惧する太一と光子郎にゲンナイがコンタクトをとり、アグモン・テントモンが救援に駆け付けます。

 

パートナーとの感動の再会に喜ぶ太一たち。

太一は仲間に召集をかけ、再び世界の危機に立ち向かおうとしますが、ミミは海外旅行で丈は受験、空は喧嘩中で音信不通ときて八方塞がりです。

 

仕方なく太一とアグモン、光子郎とテントモンで応戦にあたりますが、戦いの最中にケラモンが完全体のインフェルモンになり太一たちを圧倒しました。

インフェルモンの恐るべき強さに完敗を喫し、一時撤退を余儀なくされる太一たち。

 

やはり仲間が必要だと痛感し連絡を試みるものの、インフェルモンの妨害でネットは通じず、辛うじて田舎の祖母の家に滞在していたヤマトとタケルにのみ、電話の緊急回線が繋がります。

ヤマトとタケルは田舎を駆け回ってどうにかパソコンを借り、対インフェルモン戦に参戦しました。

 

太一とアグモン、光子郎とテントモン、ヤマトとパタモン、タケルとガブモンのコンビでインフェルモンに再戦を挑みますが、なんとインフェルモンが進化し究極体のディアボロモンになってしまいます。

追い詰められた太一が逆上してパソコンを殴るとフリーズし、動けなくなったウォーグレイモンはボコボコにされた挙句惨敗。

ディアボロモンは姿を消し、太一たちにクイズをしるしたメールを送り付けます。

 

そのメールは核ミサイルの発射時刻を告げるものでした。ディアボロモンは国防コンピューターをハッキングし、核ミサイルを誤射させたのです。

タイムリミットまで10分しかない現実に絶望する太一たち。

ウォーグレイモンとメタルガルルモンは、ネット回線に逃げ込んだディアボロモンに決死の追跡を試みます。

 

ウォーグレイモンたちが到着すると、ディアボロモンは無数に分裂を遂げていました。

無限増殖したディアボロモンに愕然とするウォーグレイモンと太一のもとに、経過を見守っていた世界中の子供たちから応援メールが殺到します。

 

この膨大なメールが処理速度を妨げた事で、動けなくなったウォーグレイモンとメタルガルルモンは袋叩きにされてしまいます。

太一とヤマトも電脳世界にダイブし、オメガモンにジョグレス進化した二体とともに戦いに身を投じます。

オメガモンの光の剣で分裂体を滅ぼしたものの、本体である残り一体は異常に素早く捕まえられません。

 

そこで光子郎が機転をきかせ、世界中から届いたメールをディアボロモンに転送します。

大量のメールが抑止力となってせディアボロモンの足止めに成功し、核ミサイルは東京湾に着弾したものの起爆は阻止できました。

時同じくして太一が送信した空への謝罪メールが届き、二人は無事仲直りしたのでした。



「ぼくらのウォーゲーム」の見所

「ぼくらのウォーゲーム」は人気アニメ「デジモンアドベンチャー」の続編に位置付けられます。ですが細田守節は健在、のちの「サマーウォーズ」に繋がる電脳世界と現実世界を行き来する描写や、ヤマトとタケルを助ける、田舎の生き生きした人間模様に注目してください。

 

伏線の張り方も大変上手く、太一の母親がケーキを焼くオーブンのタイマーが核ミサイルのカウントダウンとオーバーラップする演出など、スリルを煽っていました。

クライマックスの光子郎の機転は素晴らしく、伏線がきっちり回収される快感、構成の見事さに唸ります。上映時間が40分とは思えない、面白さがギュッと凝縮された娯楽作品に仕上がっています。

 

「ぼくらのウォーゲーム」の評価・感想

細田守の代表作「サマーウォーズ」との類似点を指摘する人が多くいました。時系列的には、「ぼくらのウォーゲーム」が「サマーウォーズ」の原型になった可能性が高いですね。

しかし細田守の色が出すぎて、「デジモンアドベンチャー」のファンからは不満の声もちらほら挙がっていました。空など一部キャラクターの性格が改変されているのも難点です。太一と空の喧嘩の理由も、そんなささいなことで?と拍子抜けしました。

 

メインで活躍するのは太一・ヤマト・タケル・光子郎の四人なので、他の「選ばれし子供たち」のファンには物足りないかもしれません。